夢を思い出す

2007年9月24日
幼い頃の夢というのは色々あるけれど、私は小学生の頃声優に憧れていた。本当は、いわゆる「アイドル」に憧れていたのだけれど、自分の容姿が優れていないということに関してはかなり早い段階で自覚があり、また運動能力も著しく乏しかったので、かわいらしいダンスはできないであろうことは幼いながらにして気づいていたように思う。

そこで私が憧れたのが声優であった。顔を見せずして、「アイドル」となれる点が何より魅力であったし、「声」だけは褒められることが多かったから、幼いながらにして夢がないんだかあるんだか、少し卑屈な夢でもあった。

なぜ「アイドル」に憧れたのか、という点については、「ちやほやされたかったから」の一言につきる。当時仲の良かった友人がとにかく可愛らしい子であり、そしてまた当時は極度に寂しがりの性格であったため、これまた鬱屈した感情で、「可愛いね、素敵ね」と言われることに憧れていた部分が強いようにも思う。

さてこのように、小学校の卒業文集にも「将来の夢は声優」と書くほどの子どもだった私ではあるが、中学生になると同時に自分の将来をわりと本気に考えるようになり、若い頭なりに声優という将来をあきらめた。まあ、もともとそう本気であったわけでもなく、単なる憧れでしかなかったのだろう。

中学生の頃は2つの職業に憧れた。長くなるのでここでは触れないが、少なくとも「声優」と比べたら、どちらも格段に「堅い」職業であった。ここで私は浮き足立った願望と決別することになる。

今思えば、何だってそんな華美な世界に憧れたのかという気もするが、幼さが作り出した夢として、今の自分には全くない部分であるからそれもそれで受けとめてあげたい気がする。

なぜ幼少の頃の夢を急に思い出したのかといえば、私の恋仲にあたる人物が某ゲームの登場人物に突如可愛さを見出し、とりこになったことによる。

今までにないことではあったが、別段ショックは受けなかった。むしろ、久しぶりにその手の「可愛い女の子」に出会い、懐かしさを覚えた。アイドル育成ゲームということもあり、複数のお嬢さんが、それはもう「可愛く造られて」いる。

キャラクターの容姿の可愛さよりも、「声」の可愛さの方が先にきた。まぎれもなく、この世に実在する一人の人物の声。可愛らしさを全面に出し、それを職業としていることに羨望を感じた。

「可愛らしさ」は自分のコンプレックスである。幼少の憧れと決別して以来、「可愛らしさ」を排除して生きてきた。きっと、これからもそうであるんだろうなと思う。

可愛さの要素を持つ人に魅かれる。「愛でる」という感情を得た。

「全力で可愛い子をしている人」というのがなんとも好きである。アイドルの世界というのは、華やかなことだけではないのだろうなあとは思う。だからこそ、「表舞台」で可愛らしさを全面に出している姿に魅かれる。

今現在、声優になりたいという気は全くない。芸能の世界は華やかなだけではないとなんとなく知ってしまったし、一生涯のことを考えるとそうやすやすと目指せる道ではないし、自分には向かないということもなんとなく想像がつく。

恋仲に当たる人物の突然の言葉に、幼少の頃の夢を思い出した。たまにはそれもいい。ここ数年、そんなことは全くもって忘れていたから。

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